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2019.9 書籍

執筆者の写真: agritanogyoagritanogyo

『地方創生ビジネスの教科書』文藝春秋 著者 増田寛也

1.要約 人口減少と高齢化のダブルパンチの影響を真っ先に受けるのは地方である。仕事も東 京も一極集中する時代が続いてきた。だがそうした逆境をバネにし、地方に活力を取り 戻そう、自持続可能なまちづくりを推進しようとする取り組みが全国各地で始まっている。 本書ではそうした“復活劇”や“地元ベンチャー”の新たな取り組みを初めさまざまな成功 事例を紹介している。特筆すべき事例としては「和歌山県・北山村」の事例がある。逆転 の発想と一見無価値だったものの中に価値を見出すことで地域活性化したパターンであ る。「本州一人口が少ない村→自分たちでやるしかないから村が事業会社へ」、「税収 6000 万円しかない→自分たちで稼げばいい」、「大きな自治体と同じことをやっても勝て ない→全国初の自治体運営ブログサイトをオープン」、「小さな村には重すぎる費用負担 →小さな村ならではの村長と議会の距離の近さによるスピーディな意思決定」などの逆 転の発想。さらに地元の人にはただの「まずいみかん」にすぎなかった“じゃばら”を「花 粉症の症状が良くする」目的で毎年大量購入している県外女性の存在に気づき、じゃば らの加工品を生み出し事業収益3.5億円を上げている。 チャンスは日本全国にある。ただ成功している自治体のしくみやノウハウをそのまま自分 の自治体に移殖しても、抱える問題や規模などが違うからうまくいかない。本気で取り組 む人がいることが「ふるさと」を守り地方消滅を防ぐ最大にして最高の解決策なのであ る。

2.感想 本書を通じて地域の弱みを武器に変える「逆転の発想」であったり外からやってきた「よ そ者」「若者」や「IT」といった様々な方面により地域活性を行えることが分かった。後川の 活動においても「若者、よそ者」である自分たちが「地元では当たり前」とされ見過ごされ ていることに対する気づきやチャンスを見出していきたい。特に後川ではお茶が少し特殊 だが他の地域と差別化できる特産物や名所といえる場所が残念ながらないように思わ れる。だからこそ隠れた魅力を掘り起こすことに加えて「若者がわざわざ後川に来たい、 住みたい」と思える新しいものを作りだしていく必要があるのではないだろうか。例えば学 生向けの“廃校施設の運営や農業の長期インターン”や起業プログラムなどが考えられ る。だがそのためには地域の自治体や住民が主体となるそういった場の提供や側面支 援などの受け入れ体制が必要不可欠である。小さな自治体だからこそ活動が見えやすく 地域の人たちも巻き込みやすいという利点を活かすべきではないだろうか。 よそ者若者が地域の方と目的の共通認識をしっかりとり、足し算に終わらず掛け算とな るような関係を築いて地域活性を行っていきたい。

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