『地方創生教育としての子どもの哲学―東北被災地における「子どもてつがく探検隊」の教 育実践とその総合的な学習への導入可能性―』 永井玲衣 河野哲也 立教大学教育学科研究年報 2018 年 2 月
◎要約 地域の活性化、人口の減少を食い止めようとすることは今や各地域で国や自治体が税金を 投入し総力を挙げて考える問題となってきている。現代の日本の地方は、人口減少や産業の 流失、社会の多様化とグローバル化の対応の遅れなどの問題を抱えている状況にある。こう した衰退した地域を「創生」することが、政治的、社会的、経済的名問題となっていることは 明白である。この論文ではそれは加えて哲学的、思想的問題であることも取り上げられてい る。 ここでは、そういった近代の問題を乗り越えるには、これまで行われてきたような一部の知 識人や政治や行政のエリートによるものではなく、地域の人々が自らの地域の背負う背を 構想することが大切と取り上げられている。 対話を通した教育プログラムを導入し、参加者が相互の理解を深めつつ、自らの思考を耕し ていく知的探求の「哲学対話」と言う手法がとられている。これは学校教育に挿入すること が可能であり、どのように有効かが見られている。
◎感想 地方創生が行政によって行われるものではなく、民間を主としたもので行われる必要があ るという部分には深く共感した。また、民間を主としても、何かを働きかける際にはお金を 始めとした大きな力が必要となることも事実である。だからこそ官民共同で連携を取るこ とが求められるが、そういったときに民間側が行政に任せきりになってしまうと言うこと が起こることもある。だからこそ「話し合う」と言う場が必要であると感じた。話し合うと言 う堅いものではなくとも、気軽に言葉にできるというコミュニティの形成は大切である。こ れからの自分たちの活動の中で(特にワークショップ)参考にできるところは参考にしてい きたいと思う。
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