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2020.2 英語論文

論文タイトル:Framing in Placemaking When Envisioning a Sustainable Rural Community in the Time of Aging and Shrinking Societies in Japan 論文執筆者:Shogo Kudo 論文執筆年:13 November 2019 <要約> 秋田県五城目市の「物語ワークショップ」と呼ばれる場づくりワークショップの事例研究を 紹介する。 場づくりとは、都市学の中で登場した概念であり、都市環境の中に第三の場所をデザインす るプロセスである。第三の場所とは、アメリカの都市社会学者レイ・オルデンバーグの造語 であり、都市の中で人々が居心地よく他者との交わりを感じられる場所のことであり、自宅 (第一の場所)や職場環境(第二の場所)とは別個に認識されている。第三の場所の例とし ては、カフェ、図書館、美術館などが挙げられる。オルデンバーグの主張は、都市には住民 の幸福を確保するために第三の場所の機能が必要であるというものである。しかし、実際に 場づくりのプロセスは物理的な計画だけにとどまらず、その計画と実際の運営の両方にお いてさまざまな利害関係者間の議論や交渉が行われている。 このケーススタディでは、地域の若者のグループがどのようにして地域の将来の姿を思い 描いたかを説明している。ワークショップ参加者が得た新しい視点の概念図解を提案して いる。図解では、過去の物語、現在の物語、未来の物語、自分自身の物語という 4 つのタイ プの物語を紹介している。ワークショップでは町の高齢者から特定の場所の個人的・集団的 な記憶を学ぶプログラムを行った。そして、参加者は自分たちの物語を振り返ることで、同 じ場所を将来どのように変えていきたいかを話し合った。このワークショップは、世代間の つながりを重視する多機能性のフレームワークにおけるソーシャル・キャピタルの要素に 対応するものである。今後の研究では、世代間のつながりを多機能性フレームワークの他の 2 つの資本要素と結びつけることを目指すべきであることを示唆している。そうすることで、 地方では高齢化や人口減少が続いているにもかかわらず、安定した再定住システムへの移 行のビジョンが確立されると考えられる。 2020 年 2 月 英語論文

<感想> 私達農業班もワークショップを行ったのでこの論文は非常に面白かった。高齢化・人口減少 社会の中にある日本の農村地域のこれからのあり方を都市学の場づくりという概念に当て はめて説明していた。これからの農村地域は、上から国が政策を押し付ける形では効率的に 機能しない。大切なことは、農村で何を持続させるべきかを住民らがイメージすることだ。 つまり、住民らが地域で何を持続させることを目指しているのか、自らの生活環境で何を持 続させたいのか、ということである。場づくりのプロセスは、参加者が自分たちのコミュニ ティの将来のあるべき姿をまとめて思い描くように誘導する。このような参加型のプロセ スは、参加者の間に地域の課題に取り組む新しい意識を生み出している。 この論文で事例として挙げられていた秋田県五城目市では、五城目町の高校生 9 名が、地 域の場所や歴史に対する理解を再構築するために回顧的な視点を持つように訓練された。 このような対話的なプロセスは場づくりの核となる重要な部分であり、参加者が現在の地 域の課題にオーナーシップを持つことに寄与するのに役立つものである。農業班が後川地 区で行ったワークショップでも、まずは住民たちで過去の後川地区について振り返っても らうというプロセスを行った。それは、住民の方一人一人が後川地区について自己意識を持 てるようにするために行ったが、この論文でも意味があるプロセスとして述べられていた のでワークショップ 1 回目で行ってよかったと思った。 そして、これからの高齢化・縮小化が進む日本の農村を持続可能なものにするためには、自 分たちのコミュニティをバランスの取れた地域に導くための方法を見極めることが重要で ある(図 5.2) その方向に導くための一つの方法として、場づくりが提案されている。ワークショップでは、 「過去の物語」「現在の物語」「未来の物語」「自分の物語」の 4 つの物語を学ぶことで、地 域のさまざまな場所に関する世代間のつながりを生み出すことに貢献する。 次のステップは、多機能性フレームワークの他の 2 つの資本に世代間のつながりを広げて いくことである。農業班でも次回のワークショップでは多機能フレームワークを意識して グループワークを行っていこうと思う。

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