『高齢社会における過疎集落の交通サービス水準と生活の質の関連性分析』 森 山 昌 幸 藤 原 章 正 杉 恵 頼 寧 土 木 計 画 学 研 究 ・論 文集 Vol.19no.4 2002 年 9 月 ◎要約 我が国においては、急速に高齢化が進展しており、2015 年には国民の 4 人に 1 人が高齢 者となる本格的な高齢社会が到来すると予測されている。このような中、交通システムをは じめとする各種社会資本整備においては、活力ある高齢社会づくりに向けた整備や評価手 法を確立する必要があり、法整備、各種事業、事業評価に関する研究等が活発に進められて いる。具体的な高齢社会に向けた各種施策を見ると、都市部ではコミュニティバスや LRT 等による公共交通機関の充実や交通バリアフリー法による旅客施設等の重点整備など、そ の対策は着実に進行している。一方で、過疎化が進行する地方部の集落では、都市部以上に 急速な少子高齢化が進行しており、公共交通機関の衰退のみならず、医療、消費等生活関連 サービスが希薄なことから、さらなる地域コミュニティの弱体化を招いており、地域の存 続さえ危ぶまれている集落も存在している。さらに、平成 14 年 2 月から施行されたバスの 需給調整規制の廃止に伴って、赤字不採算路線となる過疎集落における路線からの交通事 業者の撤退は避けられないものとなる。今後は自治体が交通サービスの提供主体となって いく必要があるが、厳しい財政状況の中で高いサービス水準での公共交通サービスの提供 は困難であることが予想され、シビルミニマム的な観点からのモビリティの確保のための 施策が中心となる。このような過疎集落において、今後の高齢者の生活を効率的、効果的に 支えていくためには、交通、医療、福 祉に限 らず生活全般にわたる 視点から総合的な施 策を推進する必要がある. 本研究では,過 疎地域の集落における高齢者の QOL (Quality of Life:生 活の質)に 着 目して交通環境が各 種活動のしやすさに及ぼす影響を分析する.ま た,高 齢 者の生活を支えていくために,交 通だけでなく各種活動 全般にわたる視点から 総合的な QOL を 向上させる要因 を明らかにする.さ らに,交 通の LOS と 各種活動を支 援する施策の代替関係に関して詳細な分析を行って,過 疎集落に望ましい総合的な施策の あり方を検討する.
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