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執筆者の写真agritanogyo

2020.3 書籍

グロービス.吉田素文(2014)『ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニ ケーションとリーダーシップ』東洋経済新報社 要旨 多様な人同士が協働する必要性が高まってきている中、多くの企業や組織にとって、議論の 質を高め、考える組織になることは最重要課題と言っても過言ではない。 そこで、「引き出し、決めさせ、自ら動くことを助ける」というスタイルに転換することが 必要であり、それこそが「ファシリテーションの本質」である。 この本では、「ファシリーテーター型リーダー」のコミュニケーションの技術、それを支え る思考、そして持つべき基本姿勢について記述しています。 ○新しい状況の中でメンバーが適切に判断を下すためには、 1上位の方針や目的を、その理由や背景とともに具体的に理解する 2具体的な自分の「あるべき姿」を描けること 3「ワクワク感や当事者意識」を持てるレベルまで納得すること が必要であるが、そんなに簡単なことではない。 →そのために、リーダーのコミュニケーションのあり方が肝になる。 適切にメンバーの思考を導くには 「意見を引き出す」「話を聴き、理解する」「話を導く」「話をまとめる」という基本的な ステップを押さえ、それぞれのステップで何を考え、どのように反応・対応するべきか知る ことが必要である。 そして、ファシリテーションを上手く行うためには、事前に十分な「仕込み」と、議論の場 で参加者の思考を適切に導く「さばき」の技術が必要である。 また、それだけでなく ・「問題解決」「構造的な話の理解」ができる思考力 ・人の可能性を信じ、意欲、能力、知恵を引き出す」という基本姿勢 という2点も重要である。 ○「仕込み」とは、「議論の『出発点』と『到達点』を明確にする」「参加者の状況を把握 する」「議論すべき論点を洗い出し、絞り、深める」の3点を行うことである。 ○「さばき」とは、議論の現場で参加者から意見を引き出し、適切に導くコミュニケーショ ンの技術である。 議論をまとめ、結論づけるときには、「決まったこと」「決まっていないこと」を明確に し、参加者に確認する、議論がまとまらないときは、「条件付きの合意」を形成することが 有効である。 しかし、議論の場ではどうしても対立が起きてしまう。実は議論の場において対立は必ずし も悪いことばかりではない。 意見の対立の背後には、「基本となる認識の相違」「考えつく解決策の内容・幅の違い」 「判断基準の違い」が存在する。対立の理由がどこにあるのかを見極めることが重要であ る。 ファシリテーターの本当に目指すべきゴールは、ファシリテーターのリード、コントロール がなくとも、参加者自らが生産的な議論の場を創造し、実りある議論ができるようになって いくことである。

感想 議論の場でファシリテーターとなる際に疑問に思うことや、「こういう時はどうしたら良い んだろう」と困った時の解決法まで詳しく書かれていてとても参考になった。また、リー ダーシップがあると言われている人の言動を思い返してみると、この本で詳しく解説されて いるファシリテーターと同じ言動をしていて驚いた。ファシリテーションは会議やグループ ワークで使うだけのものではなく、あらゆるコミュニケーションの要素を足したものであ る。私は、本当に真にファシリテーターになることはとても難しいし、無理なのではないか と感じた。しかし、理想のファシリテーターに少しでも近づけたのならそれは大いに意味の あることだと思う。この本では要約に載せ切れないほどたくさんの事例が掲載されていたの で、自分の中で落とし込み実践していきたいと思う。

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