『空き家へのIターン者受け入れを目指す若者たちの活動 ─群馬県南牧村・「南牧山村 ぐらし支援協議会」への期待と課題─』 著者:牧山正男 農村計画学会誌 Vol. 31, No. 3, 2012 年 12 月
群馬県の南牧村では近年、新たな形での空き家へのIターン者受け入れ促進活動を行っ ています。そのなかでも注目すべきことは、その活動が行政主導ではなく住民たちの自立的 なものであり、しかも活動の中心が若者たちだという点だそうです。 高齢化が進む農村では、一般に高齢者を中心とした 様々なしがらみが存在します。そん な中を相対的に自由に,かつ活発に動ける可能性があるのは若者たちです。南牧村における 数少ない若者たちの集まりは、南牧村商工会の青年部で、彼らによって地域活性化が行われ ました。 具体的には、活性化ワークショップや観光マップづくりが刺激になり、若者たちが地域活 性化に取り組むためのモチベーションが向上したそうです。最終的には、①村内の空き家全 戸の調査,②空き家バンクの公開とIターン希望者への対応,③村内・村外への宣伝,④I ターン者受け入れ促進を目指した「体験民家」の整備,の 4 つに取り組んだそうです。 地域活性化に住民の方が自ら取り組まれていて、しかもその中心が若者であることに興 味を持ってこの論文を選びました。やはり、ご高齢の方は、地域のしきたりやしがらみを強 く感じている方が多く、また、年齢のこともあり、新しく地域創生の活動をするには疲れて いらっしゃる方もいると思います。実際に私たちがワークショップをした際も、そのような 意見があがっていたことを思い出しました。今回この本を読んでやはり重要なことは、若い 人にも関心を持っていただくことが重要だと再認識しました。 また、論文の中で特に興味を持ったことは、Iターン者受け入れ促進を目指した「体験民 家」の整備についてです。これは、Iターンを希望する人に,まずは南牧村での 生活を試 してみて,その上で移住の是非をもらえるように「なんもく暮らし体験民家」を整備したと いうことです。南牧村では、かつて養蚕業のなごりを残す 3 階建ての、中には築年数が 100 年以上にもなる家が多いという特徴があります。これを活かして、他との差別化を図るため に、単に空き家といわず,「蚕室付き古民家」などという言葉で家の特徴や地域の特徴を明 確化することが課題としてあげられていました。 後川をよく知ってもらうには、後川に訪れてもらうことが大切だと考えます。そのうえで、 今回のような体験民家の取り組みはとても面白いと思いました。後川は丹波篠山の源流な らではのことを活かした体験民家ができればと感じました。
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