竹田 淳子 竹内 淑恵 『知名度が低い地域でもブランド化は可能か ~地域ブランドにおけるサービス財の重要 性~』 マーケティングジャーナル Vol.30 No.2(2010)
<要約> 1980 年代以降「ブランド」の重要性が説かれて久しい。近年のインターネットをはじめ とする情報化の進展,成熟した消費市場,製品のコモデティ化により,製品の機能や品質・ 価格での差別化がもはや困難なため,「ブランド」はさらに重要性を増していくと考えられ る。企業だけではなく,民間の非営利団体,公的機関などのあらゆる形態の組織においても 同様である。長引く日本の経済不況や自立した地域経済の必要性から,地方の公的機関では, とりわけ「地域ブランド」に注目が集まっている。各自治体から比較的小規模な商店街に至 るまで「地域ブランド構築」への取り組みは急増している。しかしながら,その構築手法は 一部の成功した地域の事例を踏襲しており,地域の特徴を考慮した手法についての充分な 議論がされているとはいい難い。日経流通新聞の地域ブランド調査(2009)では,名産品に おける地域の知名度の重要性が明らかにされている。すなわち,地域知名度が高い場合,地 域名自体が他にない特徴であり,豊富な連想を生むため,差別化要素となり,ブランド化が 容易になる。一方,知名度が低いため,地名から多くの連想を生まない地域もある。しかし ながら,知名度が高く,連想が強固であってもその連想故に他の新しい要素と上手く結びつ かない場合もあるし,逆に知名度が低い故に新しいイメージを創出して成功する場合もあ る。したがって「地域ブランドの構築」は,知名度の高低はもちろん,地域に付随する連想 の強弱及び財の種類に影響を受けると考えられる。そこで本論文では,ブランド拡張のフレ ームを用い,地域を無形財と位置づけて,無形材から有形財(製品),無形財から無形財(サ ービス)への拡張を,連想と知名度の高低の 2 軸から議論する。具体的には「地域」を企 業 ブランドと捉え,地域の連想に合致した製品・サービスと合致しない製品・サービスを 展開する際の消費者の反応を知名度の高低ごとに定量分析することにより,「地域ブランド 構築」の成功要件を明らかにする。その上で現在画一的に論じられている地域ブランドに対 する新たな構築手法を提案し,実務的なインプリケーションを得ることを目的とする。
<感想> 後川は、名前の通り川の源流であり、美しい水とそれで作られた農作物が有名です。と りわけ農作物は丹波篠山市でもとくに優れているといわれています。そのため、それらを使 って外部に発信できないかと考えていました。そういったときに読んだこの文献は、地域ブ ランディングの流れや注意すべきことを事例とともに知ることができました。私たちが活 動する丹波篠山市でも、「丹波」というブランド力が大きな影響を与えていると感じていま す。(その影響もあり、昨年篠山市から丹波篠山市に改名されましたよね!)この研究では、 自分たちの地域のブランド・アイデンティティを確定し、それと一致する製品を先にブラン ド化し、知名度を上げることで地域ブランディングが完成することを学ぶことができまし た。私たちは今、中途半端に地域と製品のアピールをしていたんだと考え改めさせられたと 同時に、地域創生の道筋が立った気がします。これからもコロナに負けず、頑張ります!
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